「サージカルステンレスなら安心」と思って選んでいませんか?
実は多くのサージカルステンレス製品には金属アレルギーの原因となりやすいニッケルが含まれています。
「医療用だから安全」「アレルギー対応だから大丈夫」と信じて選ぶだけでは、不安や肌トラブルを防ぎきれないことも。
この記事では、
✅ サージカルステンレスにニッケルが含まれる理由
✅ 知らずに選ぶことで起こるリスク
✅ 安心して使うための確認ポイント
をわかりやすく解説します。
「知らなかった…」と後悔しないために、今すぐチェックしてみてください。
多くの人が誤解している「アレルギー対応素材」

「医療用だから安心」という思い込み

サージカルステンレス=医療用だからアレルギーの心配はないはず
と思い込んでいませんか?
たしかにサージカルステンレスは、
✅ 医療用器具に採用されている
✅ 汗や水に強く錆びにくい
✅ 肌トラブルが起きにくい
など、一般的なステンレスに比べて安心できる素材とされています。
そのため、ネットショップや商品説明でも
「アレルギー対応」
「つけっぱなしOK」
「安心素材」
といった言葉が使われることが多いです。
でも、ここで注意が必要です。
医療用として問題がない素材と、金属アレルギーのリスクが完全にゼロの素材は同じではありません。
実際、サージカルステンレスを使っていても、

サージカルステンレスのアクセサリーなのに、かゆみが出てしまった…

安全だと思って使ってたのに、ピアスホールが赤く腫れた
と感じる方が一定数います。
これは「医療用だから大丈夫」と思い込むことが、素材選びの落とし穴になる一例です。
サージカルステンレスにもニッケルを含む理由

もう一つ知っておきたいのは、サージカルステンレスの組成です。
サージカルステンレス(代表的なのはSUS316L)は、強度と耐食性を高めるために10%以上のニッケルが含まれています。
なぜニッケルを入れるのかというと、理由はとてもシンプルです。
✅ 耐食性(サビにくさ)を高める
✅ 金属の硬さを出す
✅ 光沢を保つ
この、「機能のためにどうしても必要な成分」であることから、完全にニッケルをゼロにすることは難しい素材です。
もちろん、サージカルステンレスは表面の酸化被膜によりニッケルの溶出が非常に少ないことが知られています。
ただし、「溶出が少ない=含まれていない」ではないことを知っておくことがとても大切です。

知らずに使って肌が荒れてしまった

金属アレルギーが、なかなか治らないと思ったら原因がこれだった
そんな声も少なくありません。
サージカルステンレスのニッケル含有はどのくらい?実際の組成

SUS316Lの含有量
「サージカルステンレス=SUS316L」と言われるほど、アクセサリーや医療用器具で広く使われているこの規格。
では、具体的にどのくらいニッケルが含まれているのでしょうか?
標準的なSUS316Lの組成は以下の通りです。
✅ クロム:16〜18%
✅ ニッケル:10〜14%
✅ モリブデン:2〜3%
✅ 鉄:残りの大部分
つまり、全体の1割以上がニッケルで構成されています。
「10%も?」と驚く方も多いかもしれません。
でも、ここが誤解のポイントです。
含有量だけを見れば決して少ないとは言えませんが、サージカルステンレスはこのニッケルが溶け出しにくい構造を持っています。
この「溶出が少ない」という性質が、「アレルギー対応」と表現される理由です。
溶出が少ないだけでゼロではない

サージカルステンレスの表面には、「不動態皮膜」と呼ばれるとても強い酸化被膜が形成されます。
この皮膜があるおかげで、
✅ 水や汗に触れても腐食しにくい
✅ 金属イオンがほとんど溶け出さない
という特性が生まれます。
ただし、「ほとんど溶け出さない」と「全く溶けない」は別です。
EUの規定では、ニッケルアレルギー対策として「1週間に0.5μg/cm²以下の溶出であれば安全基準を満たす」とされています。
サージカルステンレスはこの基準を満たす製品が多いですが、ごく微量のニッケルは溶出します。
これが、
✅ 肌のバリア機能が弱っている
✅ 感作(アレルギー反応が起こる準備が整った状態)が進んでいる
場合には症状を引き起こす原因になってしまいます。
特に、
・ピアスホールのように金属が常に接触する場所
・汗や湿気が多い季節
は注意が必要です。
「ニッケルを含む素材を全く受けつけない体質の方」にとっては、サージカルステンレスも安心できる選択肢とは言い切れません。
知らずに選ぶとどうなる?

症状が出る人の共通点
「サージカルステンレスなら安心」と思って選んでいたのに、実際に着けてみたら、

ピアスホールが赤く腫れた

かゆみが長引いた

触った部分にブツブツが出てきた
というトラブルを経験する方は少なくありません。
こうした症状が出やすい人にはいくつかの共通点があります。
✅ すでにニッケルアレルギーを発症している
一度アレルギーが起きた体はとても敏感で、ごく微量のニッケルでも強く反応します。
✅ ピアスホールが不安定・炎症気味
傷ついた肌はバリア機能が弱く、金属イオンが浸透しやすい状態です。
✅ 長時間つけっぱなしにしている
汗や皮脂がたまるとイオン溶出のリスクが上がります。
✅ 汗をかきやすい体質・季節
湿気が多いと溶出が進みやすい傾向があります。
「アレルギー対応と書かれていたのに…」とがっかりしないためにも、使用前に肌の状態を確認し、短時間から試すことがとても大切です。
「感作」されるリスク

もう一つ知っておきたいのが、「感作」というプロセスです。
金属アレルギーは、初めから症状が出るわけではなく、
- 繰り返し触れるうちに免疫が反応するようになる
- 徐々にアレルギー体質になる
というステップを経て発症します。
これを「感作(かんさ)」と呼びます。
たとえば、
・毎日サージカルステンレスのピアスをつけっぱなしにする
・湿度が高い季節に長時間装着する
といった状態を続けることで、今まで大丈夫だったのに突然かゆみが出るケースもあります。
一度感作が起きると、その後はほんの少量のニッケルでも反応する体質になることがあります。
つまり、「今は問題ないから大丈夫」ではなく、「これから先もずっと大丈夫とは限らない」ということです。
だからこそ、「ニッケル含有の有無を正しく知る」「溶出を少なくする使い方をする」という意識が大事になります。
安心して使うために知っておきたいこと

製品表示をしっかり確認する
「サージカルステンレスだから大丈夫」と思って購入する前に、まず商品の表示や説明をしっかりチェックしましょう。
確認ポイントは以下の通りです。
規格が明記されているか:
SUS316LやSUS304など、規格によってニッケルの含有量や耐食性が異なります。SUS316Lは溶出が少ないとされていますが、それでもニッケルを10%以上含みます。
ニッケルフリーかどうか:
「ニッケルフリー」と書かれていても、全くニッケルを含まないとは限りません。
EU基準(溶出量が0.5μg/cm²以下)を満たしていれば「ニッケルフリー」と表記できるため、詳しい説明を確認しましょう。
コーティングの有無:
コーティングだけでニッケルの溶出を抑えている製品は、摩耗でコーティングが剥がれると症状が出やすくなります。
購入前に試す方法

どんなに信頼できる素材でも、実際に肌に合うかどうかは個人差があります。
購入後、以下のステップで試してみてください。
✅ 短時間だけつけてみる
最初は1〜2時間程度だけ装着し、赤みやかゆみが出ないか確認しましょう。
✅ 同じ箇所に数日繰り返す
一度大丈夫でも、繰り返すうちに反応が出る場合があります。3〜4日続けて問題がなければ安心度が高まります。
✅ 肌が健康な状態で試す
炎症や乾燥がひどいときは敏感になりやすいため、肌の調子が整ったタイミングで試すのが理想です。
✅ 使用後はしっかり洗浄と保湿
汗や皮脂を落とし、刺激を最小限にすることも大切です。
✅ 少しでも症状が出たら無理をしない
「我慢できるから大丈夫」と放置すると、感作が進んでアレルギーが慢性化することがあります。
これらを習慣にすることで、「知らなかったから肌が荒れた」「結局使えなかった」という後悔を防げます。
まとめ|「知らなかった…」を減らす素材選び

サージカルステンレスは多くの人にとって安全性が高い素材ですが、ニッケルを含んでいることは意外と知られていません。
「アレルギー対応」「医療用」という言葉だけを信じて選ぶと、「自分の肌には合わなかった」「気づかないうちに感作が進んでしまった」といったトラブルが起こる可能性もあります。
安心しておしゃれを楽しむためには、
✅ 成分表示をよく確認する
✅ 無理なく試す
✅ 肌の反応を大切にする
この3つを習慣にすることが大切です。
「知らなかったから後悔した…」を減らして、素材を正しく選ぶ知識を持つことが、肌にも心にもやさしい一歩になります。

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